時事解説

2017年04月17日号

【当世暴力団事情】
神戸山口組が暴対法に基づく指定暴力団とされて1年 鷲見一雄の解説


●神戸新聞NEXT
「神戸新聞NEXT」は15日、「神戸山口組指定1年 偽情報?水面下で抗争活発化」という見出しで次の記事を配信した。
 指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から分裂した神戸山口組(本拠地・淡路市)が、暴力団対策法に基づく指定暴力団とされて15日で丸1年を迎える。全国で相次いだ衝突は指定後に減少し、表向きは沈静化した。だが4月に入り神戸側が神戸市内に新拠点を設け、直後には同組が「分裂する」という真偽不明の情報も出回った。山口組との対立抗争状態が水面下で活発化しているとの見方もあり、警察当局が警戒を強めている。

 10日朝、淡路市志筑にある神戸山口組の本拠地前は緊張感に包まれた。

 定例会を前に「直参」と呼ばれる直系組長たちの出席状況を兵庫県警の捜査員らが念入りに確かめた。県警にもたらされた「二つに分裂する」という情報の裏取りを進めたが、離反を取りざたされた組長らが現れ、誤報との見方が広がった。直前には幹部人事を巡って神戸山口組の内部で議論がもつれているとの情報も入っていたという。

 捜査関係者はこう指摘する。「情報を流したのは山口組側からの可能性もある。『謀反の動きあり』と神戸山口組の内部に疑心が広がれば、勢力をそげる」

 指定1年を前に神戸側は新たな動きを見せている。県警などによると、神戸・三宮で政治団体の建物とされる一室が改装され、5日以降、神戸山口組の組員らが出入りを始めた。

 場所は加納町交差点の北東約250メートル。分裂後、同交差点を境界に両派の勢力は二分する構図になっていたが、新拠点設置がトラブルを招く危険もある。

 2月には別団体の指定暴力団会津小鉄会(本部・京都市)の後継人事を巡る内紛に、二つの山口組が介入。「代理戦争」の様相を呈している。

 県警は、双方が水面下で対決姿勢を強めているとみて情報収集や取り締まり態勢を強化。4月3日には神戸山口組の本拠地前に特別警戒所も設けた。「市民が巻き添えになる事態を未然に防ぎ、双方の壊滅を目指す」としている。

●鷲見一雄の解説
 山口組から分裂した神戸山口組が、暴対策法に基づく指定暴力団とされて15日で丸1年を迎えた。指定効果について考える。

 警察庁によると、平成27年8月の山口組分裂から今月5日までの間、双方の衝突事件は全国で95件発生。うち75件は兵庫県公安委員会が神戸山口組を指定する以前の8カ月足らずの間に起きた。警察庁が両組織を「対立抗争状態」にあると認定した昨年3月には最多の33件が発生したが、指定後は月0~5件にとどまっている。
 警察当局は衝突が激減した理由について、指定によって事務所の使用制限などの規制が厳しくなった上、双方が抗争事件を起こした場合に、より厳しい規制を強いられる「特定抗争指定暴力団」とされることを避ける意図があるとみている。(産経)

 私も、急いで指定した効果はあった、と評価する。

「山口組の分裂」は「警察当局によると、山口組の篠田建市組長が2005年に5代目に就任して以降、出身母体の「弘道会」(名古屋)のメンバーを幹部にしたり、高額な上納金を課したりする支配体制を敷き、関西の古参幹部らが反発。15年8月27日に直系13団体が離脱し、新組織「神戸山口組」を結成した。(読売)

「抗争が起きた場合、封じ込めの切り札になるのが、「暴力団対策法」だ。2012年の改正法では、抗争を繰返した暴力団を「特定抗争指定暴力団」と認定し、組事務所への立ち入りや5人以上の組員の集合などが禁止され、違反した場合は即逮捕できる。(読売)

「山口組」分裂は前例がある。1984年6月、「山口組」と「一和会」とに分裂した。そして85年~87年にかけて「山一抗争」と呼ばれる大事件が起きた。

「山一抗争」では、暴力団関係者25人が死亡、市民と警察官を含む70人が負傷した。(読売)

 しかし、その時代と今とでは「2012年の暴対法改正により抗争を抑止する法整備も整っており、司法の眼、世論の眼も「山一抗争」の時代に比べ段違いに厳しくなっており、全く異なる時代となった。

「司法の眼」の山口組に対する厳しさは「約20年前の97年、大阪市内で配下の組員に拳銃を所持させたとして銃刀法違反(所持)に問われた元最高幹部・滝沢孝被告(79)の2回目の差し戻し審で、大阪地裁が懲役6年(求刑・懲役10年)の実刑判決を言い渡したことが如実に示している。

 ちなみに、滝沢被告の事件の5年前の平成4年6月当時の「山口組」は構成員2万3,100人(準構成員を入れると3万5,400人)。全国の暴力団勢力数は9万1000人だった。「会津小鉄会」も1600人の勢力を誇っていた。それが、平成28年末の全国の暴力団構成員は前年比で約2千人減少して約1万8100人。山口組が43都道府県で約5200人、神戸山口組は36都道府県で約2600人とされる。

 明らかに人気がなくなった、ことを雄弁に物語っている。

 こういった取り巻く環境の変化が、「全国で相次いだ衝突は指定後に減少し、表向きは沈静化した」背景となった。

 この先、「兵庫県警」、「京都府警」は勿論だが、警視庁、大阪府警、愛知県警をはじめ全国の道府県警が「山口組」、「神戸山口組」などに関する情報収集や取り締まり態勢を強化する流れを継続・強化することは間違いない。「山口組」、「神戸山口組」がどのような動きをするか、注目される。


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