時事解説

2017年04月15日号

【連続不審死】
被告死刑判決を待っていた人たち


●毎日新聞
「毎日新聞」は15日、『<連続不審死>捜査員「この日を待った」 被告死刑判決に』という見出しで次の記事を配信した。
 首都圏連続不審死事件で男性3人への殺人罪などに問われた木嶋(土井に改姓)佳苗被告(42)の上告審判決で、最高裁第2小法廷は14日、被告の上告を棄却し、1・2審の死刑判決が確定する。埼玉県内も舞台となった事件から8年。当時の捜査員や被告を知る関係者らは、さまざまな思いで判決を受け止めた。【遠藤大志、内田幸一】

「この日を待っていた」。事件当時、埼玉県警捜査本部の主任官を務めた白川豊美さん(64)=同県深谷市=は万感の思いをにじませた。

 2009年8月、同県富士見市内の駐車場のレンタカー内で、東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん(当時41歳)が遺体で見つかった。車内で練炭が燃やされ、一見、自殺をうかがわせた。だが、施錠された車内に車の鍵はなく、着火に使われたマッチ箱がないなど不自然な点もあった。

「自殺じゃない。殺しだ」。白川さんらはすぐに捜査に着手した。大出さんの家族の証言などから交際相手の木嶋被告が浮上。さらに捜査を進めると、被告の周囲で結婚詐欺とみられる金銭被害や中高年男性の不審死が相次いでいることが判明した。県警は同年9月、詐欺容疑で木嶋被告を逮捕し、翌年2月、大出さん殺害容疑で再逮捕した。

 取り調べに木嶋被告は一貫して容疑を否認した。「堂々として、うそをうそとも思っていない。言葉遣いもセレブのようで、こちらを見下していた」。白川さんが述懐する。一方で「大出さんと行動を共にしていたことは認めた。これはやりにくいなと思った」

 被告の関与を示す直接証拠はなく、捜査は困難を極めた。最高裁の判断に白川さんは「被害者や遺族の気持ちを考えれば当然のこと。間違いのない判決だ」と静かに語った。

 木嶋被告は北海道別海町出身で高校卒業後に上京した。被告の家族と親交があった同町の60代男性は「(被告は)はっきりものを言う子で、地元では出来のいい子で通っていた」と振り返るが、「家に行っても一人で部屋にいる子で孤独な感じだった」とも話す。

 男性は「被告の祖父は地元の名士で、不自由なく暮らしていた。東京でも金が必要だったのだろうか」と思いを巡らせる。「両親は立派な人。直接証拠もないというし、判決を信じたくない気持ちもある」と複雑な胸の内を明かした。

 殺害された大出さんは模型作りが趣味で、コンテストの受賞歴もあった。死の直前に更新したブログには、被告とみられる女性と「婚前旅行に行きます」と喜びをつづっていた。大出さんが出入りしていた模型店の元店主(59)は「作品の改善点を指摘すると考え込むような繊細な人。真面目だからだまされたのだろう。死刑は当然だし、彼も無念を晴らせるのでは」と思いやった。

 ◇首都圏連続不審死事件

 2009年8月、富士見市の駐車場のレンタカー内で会社員の大出嘉之さんが遺体で見つかった。当時、大出さんは木嶋佳苗被告と交際していた。その後、被告と付き合いのあった男性2人の死亡が発覚。被告は3件の殺人などで起訴され、1審・さいたま地裁は12年4月に死刑判決を言い渡し、2審も1審判決を支持した。

●鷲見一雄のコメント
「胸が熱くなる記事だ。被害者の男性3人のご冥福をお祈りします」


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