コラム

2017年09月21日号

【裁判をみる眼】
<天竜川転覆>東京高裁・大島隆明裁判長、禁錮2年6月、執行猶予4年とした1審静岡地裁判決を破棄し、第三セクター「天竜浜名湖鉄道」の元船頭に逆転無罪判決


●毎日新聞
「毎日新聞」は20日、『<天竜川転覆>「管理責任負う立場にない」元船頭に逆転無罪』という見出しで次の記事を配信した。
 浜松市の天竜川で2011年、川下り船が転覆し乗客ら5人が水死した事故を巡り、業務上過失致死罪に問われた第三セクター「天竜浜名湖鉄道」の元船頭主任、小山正博被告(68)の控訴審判決で、東京高裁は20日、禁錮2年6月、執行猶予4年とした1審・静岡地裁判決(今年1月)を破棄し、逆転無罪を言い渡した。大島隆明裁判長は「管理責任を負う立場になく、転覆の危険性も予見できなかった」と述べた。

 事故は11年8月17日に発生。23人が乗った「第11天竜丸」が、川底から噴き上がる「噴流」に巻き込まれて転覆し、2歳児を含む乗客4人と船頭1人(当時66歳)が死亡した。

 乗船していなかったものの船頭主任として起訴された被告について、1審は「運航の安全に関する責任者の立場にあったのに、(他の船頭への)適切な指導・訓練をほとんど行わないなどの過失で事故を招いた」としていたが、2審は「(会社との)業務委託契約を見ても、他の船頭に対する監督権限は見いだせない」と指摘。事故を予見できたかについても「現実的な危険性を認識し得たとは言えない」とした。一方で、会社については「安全管理対策の構築に向けた対策の検討などを組織全体で行っていたとはうかがわれない」と、1審同様に批判した。

 閉廷後、小山・元船頭主任は「船頭として、どこへ出ても恥ずかしくないことをしてきたつもり。(主張が)認められてうれしいが、事故は一生背負わなければならないこと」と語った。

 この事故を巡っては、1審で同罪に問われた元営業課長と元船頭も執行猶予付きの有罪判決を受け、控訴せずに確定している。【近松仁太郎】

●産経ニュース
「産経ニュース」は20日、「天竜川転覆事故 元船頭主任に逆転無罪 東京高裁」という見出しで次の記事を配信した。
 浜松市の天竜川で平成23年、川下り船が転覆し、乗客ら5人が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社「天竜浜名湖鉄道」の元船頭主任、小山正博被告(68)の控訴審判決公判が20日、東京高裁で開かれた。大島隆明裁判長は「被告に過失があったと認めるに足りる証拠がない」として、禁錮2年6月、執行猶予4年とした1審静岡地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。

 小山被告は無罪を主張していたが、1審は、小山被告が船頭の配置計画などを決めていたことや、操船や運航の安全に関する指導訓練を引き受けていたことなどから、他の船頭らへの実質的な監督権限があったと認定した。

 これに対して大島裁判長は、これらが「船頭主任の法的権限に基づいて行われていたかどうかは疑問」とし、ただちに実質的な監督権限があったとは言えない、とした。

 また、小山被告が事故当時、川底から湧き上がり、渦を巻く「噴流」などの影響で船が転覆してしまうことについて「現実的な危険性を認識できなかったと考えるのが相当」と指摘。被告には注意義務違反はないと結論づけた。

 事故は23年8月17日、浜松市の天竜川で発生。乗客乗員23人が乗った川下り船「第11天竜丸」が岩場に衝突して転覆、2歳の幼児を含む乗客4人と船頭1人が死亡した。
●中日新聞
「中日新聞」は20日、「天竜川、元船頭主任に逆転無罪 転覆5人死亡事故で東京高裁」という見出しで次の要旨の記事を配信した。

 大島隆明裁判長は「転覆の現実的な危険を認識できたとは考え難い」と指摘。「安全管理体制を構築する責任を果たしていない社長らの代わりに、末端に位置していた被告が安全管理の責任を負ういわれはない」と述べた。

(共同)

●時事通信
「時事通信」は20日、《逆転無罪「うれしさと驚き」=天竜川転覆で元船頭主任》という見出しで次の記事を配信した。
 5人が死亡した天竜川下り船の転覆事故の控訴審判決で、逆転無罪となった元船頭主任の小山正博さん(68)は20日、東京高裁前で取材に応じ、「うれしさと驚き。負けずにやってきて良かったという思いだ」と感慨深げに話した。

 事故について問われると、「船頭の指導などできることはやっていたが、起きてはいけない事故が起きてしまった。申し訳なく思っている」と涙を浮かべた。

 弁護人の三橋閑花弁護士は「一審の不合理な判断が覆された。組織の刑事責任を問う場合は、当事者の役割などを丁寧に判断する必要がある」と強調した。

 一方、ある検察幹部は「起訴された3人の中では一番関与が薄く、無罪の可能性もあると思っていた。過失を問う事件は証拠の評価の問題になってしまうため難しい部分がある」と淡々と話した。

●鷲見一雄の視点
 証拠を丹念に検証した判決、事後審はかくあるべきだ、と思う。

●鷲見一雄の憎まれ口
 妥当な判決、と評価したい。


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