コラム

2017年08月12日号

【人権救済】
東京弁護士会が、警視庁高井戸署に人権侵害警告=万引き事件の捜査で当時中学生の少年2人に暴言


●読売新聞
「読売新聞」は11日、《「地獄を見せてやる」…警官暴言、録音を公開》という見出しで次の記事を配信した。
 警視庁高井戸署員が、万引き事件の捜査で当時中学生の少年2人に暴言を吐いていたことが判明し、東京弁護士会は10日、人権侵害があったとして、同署に警告した。

 2人の父親は同日、ICレコーダーで録音した取り調べの音声データを公開した。

 同署の警部補と巡査部長は2015年12月、同級生に万引きを強要した疑いがあるとして、少年2人を約2時間、取り調べた。

 公開された約5分間の音声データでは、警察官2人が「お前は逮捕されて牢屋(ろうや)に入れ。人生終わりだからな」「地獄を見せてやるよ」などと威圧。謝罪を強要するような発言もあった。少年1人が取り調べをICレコーダーで録音していた。捜査の結果、2人の万引きへの関与は認められなかった。同庁は、取り調べを担当した警察官2人を注意処分としており、「不適切な言動があった。再発防止に努める」としている。
●産経新聞
「産経新聞」は10日、「万引事件、中学生に取り調べで「お前の人生終わりだからな」 東京弁護士会が警視庁高井戸署に人権侵害警告」という見出しで次の記事を配信した。

 東京弁護士会は10日、警視庁高井戸署の警察官が万引事件の取り調べで中学生2人に黙秘権を告知せず、「お前の人生終わりだからな。高校行けねえから」などと関与を認めるよう迫っていたと明らかにした。同会は人権侵害にあたるとして、同日、同署に警告した。

 法的拘束力はないが、警告は最も重い措置。取り調べを受けた当時14歳と15歳の男子生徒が人権救済を申し立てていた。

 警告書などによると、平成27年12月10日に発生した万引事件で事情を聴かれた中学3年(当時)の生徒が、クラスメートだった2人の名前を挙げ、「万引をするよう強要された」と説明した。

 2人は同月19日に同署へ呼ばれ、別の部屋でそれぞれ約2時間の取り調べを受けた。この際、1人がICレコーダーで取り調べの様子を録音していた。

 録音には、事件への関与を否定する男子生徒に、男性警察官が「発言次第じゃお前の首を取るぞ。てめえ高校なんか行かせねぇぞコラ」「否認すれば否認するで間違いなく牢屋に入れるんだぞお前」などと供述を迫る様子が収められていた。

 別の1人も男性警察官から、「このまま否定していると、お前が行こうとしている高校に行けなくなるぞ」と迫られたという。取り調べにあたり、黙秘権の説明もなかった。

 最終的に2人は万引強要を認める発言をしたが、その後、生徒側が警視庁に抗議。同署が取り調べを担当した50代の男性警部補と40代の男性巡査部長に確認したところ、発言を認めたため、警視庁は両親らに謝罪した。

 同会は「生徒らの黙秘権を侵害した上、乱暴な口調で萎縮させて供述を迫っており、供述の自由を著しく侵害する行為だ」としている。

 警視庁の森本敦司生活安全総務課長は「取り調べの中で行き過ぎた発言があったことは真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努める」とコメントした。

●時事通信
「時事通信」は10日、「自白強要で警視庁に警告=中学生に「高校行かせない」―東京弁護士会」という見出しで次の記事を配信した。
 万引き事件への関与を否認する中学3年生に対し、「認めなければ高校へは行かせない」などと脅して自白を強要したとして、東京弁護士会は10日、警視庁高井戸署に警告した。

 生徒が取り調べを録音し、同弁護士会に人権救済申し立てをしていた。

 申し立てていたのは、現在高校2年の男子生徒2人。

 警告書によると、同署は2015年12月、万引き事件を起こした別の男子生徒が「クラスメート2人に万引きを強要された」と話したことを受け、2人を同署に呼んで取り調べを行った。

 その際、担当の警察官は黙秘権を告げなかった上、関与を否定する2人に対し、「否認すれば牢屋(ろうや)に入れる」「てめえの首を取るぞ。高校なんか行かせねえぞ」などと発言し、万引きの強要を認める反省文を書かせた。しかし、強要やいじめは確認できなかったという。

 森本敦司・警視庁生活安全総務課長の話 真摯(しんし)に受け止め、指導を徹底し再発防止に努める。 

●産経新聞
「産経新聞」は11日、《自白強要 専門家「任意聴取も可視化に」》という見出しで次の記事を配信した。
人権救済申し立ての流れ(写真:産経新聞)

 万引事件の任意聴取で警官が中学生の男子生徒らに自白を迫っていた今回の問題。冤罪(えんざい)を防ぐため警察の取り調べでも録音・録画(可視化)が広がるが、裁判員裁判対象事件など一部にとどまり、任意聴取では義務付けられていない。専門家は「任意も含めて可視化すれば、今回のような事案は防げる」と可視化の徹底を求める。

「鑑別(所)でも少年院でもどこでもぶちこむしかないのかなって俺は今考えている」。当時15歳の生徒が聴取に持参したICレコーダーには生々しいやり取りが記録されていた。別の部屋で聴取されていた当時14歳の生徒が事件への関与を認めたとして「向こうはごめんなさいができている。てめえだけなんだよ」と告げる場面もあった。

 会見した14歳の生徒の父親は「追い込まれ、認めざるをえなかった子供のことを考えるとどんな気持ちだったかと思う」と話した。

 警察による可視化は平成20年、裁判員裁判対象事件の取り調べの一部で開始。その後、刑事訴訟法改正で全過程可視化が義務付けられた。警察庁は前倒しする形で昨年10月から新指針の運用を開始したが、今回のような任意聴取までは義務付けられていない。

 新潟大の稲田隆司教授(刑事訴訟法)は「全ての取り調べを録音録画するのが理想」と指摘。「精神的に未熟な人が自白を強要されれば流されてしまう。イギリスなどでは少年の聴取にソーシャルワーカーなどが立ち会う制度があり、日本でも親や弁護士の立ち会いを認めるべきだ」と話している。

●鷲見一雄の視点
 警視庁高井戸署の取り調べを担当した50代の男性警部補と40代の男性巡査部長は少年の人権を無視していた、と思う。

●鷲見一雄の憎まれ口
 全ての取り調べを録音録画する必要性を痛感する。


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