コラム

2017年07月12日号

【裁判をみる眼】
収賄と背任の罪に問われた阪大大学院工学研究科の元教授、倉本洋被告(57)=懲戒解雇=に懲役3年執行猶予5年、追徴金約1288万円(求刑懲役4年、追徴金同)の判決


●朝日新聞デジタル
「朝日新聞デジタル」は11日、「元阪大院教授に有罪判決 共同研究で便宜図り収賄」という見出しで次の記事を配信した。
 大学との共同研究に参加させた見返りに企業から賄賂を受け取ったなどとして、収賄と背任の罪に問われた大阪大大学院工学研究科の元教授、倉本洋被告(57)=懲戒解雇=の判決が11日、大阪地裁であった。飯島健太郎裁判長は懲役3年執行猶予5年、追徴金約1288万円(求刑懲役4年、追徴金同)の有罪判決を言い渡した。

 判決によると、倉本被告は2012~16年、耐震工法に関する共同研究に参加させた見返りに、土木・建築分野の4社側から計約1288万円の賄賂を受け取った。また、3社側から共同研究の経費を受け取っていたのに、大学にも研究経費計約1570万円を負担させ、損害を与えた。

 判決は「建築耐震工学の第一人者が多額の賄賂を収受したことで、国立大学教授の公正さに対する信頼は大きく損なわれた」と指摘。一方、倉本被告が起訴内容を認め反省の態度を示していることや、研究分野での社会貢献を考慮し、刑の執行を猶予した。

●毎日新聞
「毎日新聞」は11日、「<共同研究汚職>阪大元教授に有罪判決 大阪地裁」という見出しで次の記事を配信した。
 大阪大と企業の共同研究を巡る汚職事件で、収賄と背任の罪に問われた大阪大大学院工学研究科元教授、倉本洋被告(57)=懲戒解雇=に対し、大阪地裁は11日、懲役3年、執行猶予5年、追徴金1288万円(求刑・懲役4年、追徴金1288万円)を言い渡した。

 飯島健太郎裁判長は「自ら振込先を指示し、多額の賄賂を得た。国立大教授の職務の公平さに対する社会の信頼を大きく損なった」と指摘。執行猶予の理由については「広く報道され、社会的制裁を受けた。これまで建築の耐震分野で社会に貢献してきた」などと説明した。

 倉本被告は公判で起訴内容を認め、「奨学寄付金は自分の金という間違った認識があり、自由に使えないかと考えた」などと述べていた。

 判決によると、倉本被告は2012~16年、耐震技術の共同研究のデータを提供する見返りに、中堅ゼネコンなど4社の担当者から計1288万円を自身が実質的に経営する会社の口座などに振り込ませ、賄賂を受け取った。また、このうち3社から共同研究に使う部材などの経費として約2320万円を受け取ったのに申告せず、大学にその経費として約1570万円を支出させる「二重取り」をして、大学に損害を与えた。【三上健太郎、岡村崇】

●産経新聞
「産経新聞」は11日、《耐震研究汚職 阪大元教授に有罪判決「国立大の信頼損なう」 大阪地裁》という見出しで次の記事を配信した。
 耐震技術に関する共同研究で便宜を図った見返りにゼネコンから現金を受け取ったなどとして、収賄と背任の罪に問われた元大阪大大学院工学研究科教授、倉本洋(ひろし)被告(57)=懲戒解雇=の判決公判が11日、大阪地裁で開かれ、飯島健太郎裁判長は懲役3年、執行猶予5年、追徴金1288万円(求刑懲役4年、追徴金1288万円)を言い渡した。

 判決理由で飯島裁判長は、企業側の謝礼の申し出に対し、被告も口座を指定するなどして賄賂を積極的に受け取ったと指摘。「国立大教授の社会的信頼が大きく損なわれ、強い非難を免れない」と述べた。

 一方で被告が大学を懲戒解雇された上、事件が広く報道され、社会的制裁を受けたと言及。社会内で更生する機会を与えるのが相当だとして執行猶予を選択した。

 判決によると、倉本被告は平成24~28年、中堅ゼネコンの東亜建設工業(東京都)など4社と耐震技術に関する共同研究を実施、研究結果を提供する見返りに計約1288万円を受け取った。また、うち3社からは研究費を受領しながら、大学側にこれを隠して経費として計約1570万円を支出させ、大学に損害を与えた。

●鷲見一雄の視点
 いつの世にも、権力者の収賄、背任は絶えない。倉本洋(ひろし)被告(57)=懲戒解雇=はそれで人生を狂わせた。地位に驕り、公務員意識が著しく欠如していた、ということだ。

●鷲見一雄の憎まれ口
飯島健太郎裁判長の倉本被告に対する懲役3年、執行猶予5年、追徴金1288万円(求刑懲役4年、追徴金1288万円)の判決は妥当だ。


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