コラム

2017年06月14日号

【裁判をみる眼】
福知山線脱線事故―最高裁、歴代トップの責任認めず=JR西日本元3社長、無罪確定へ


●時事通信
「時事通信」は13日、「事故の予見可能性認めず=JR西元3社長、無罪確定へ―福知山線脱線・最高裁」という見出しで次の記事を配信した。
 乗客106人が死亡した2005年のJR福知山線脱線事故で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は12日付の決定で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長は事故を予見できなかったとして、「一、二審の無罪判決は相当」と結論付けた。

 事故から12年で、関係者全員の無罪が確定する。安全対策が部下に委ねられていたこともハードルとなり、経営トップの刑事責任を追及する難しさが浮き彫りとなった。

 検察官役の指定弁護士は、井手正敬(82)、南谷昌二郎(75)、垣内剛(73)の歴代3社長が「現場カーブに制限速度を超過した列車が進入すれば脱線する危険性を予測できた」と主張。自動列車停止装置(ATS)の設置を指示する義務を怠ったと訴えていた。

 これに対し、第2小法廷は「事故当時、カーブへのATS設置は法的に義務付けられておらず、大半の鉄道事業者は整備していなかった」とした。

 さらに、ATSの設置は部下の鉄道本部長の判断に委ねられ、「代表取締役が個別の危険性に関する情報に接する機会は乏しかった」と言及。現場と同じ半径300メートル以下のカーブは同社管内で2000カ所以上あり、特に危険性が高いと認識できたとはいえないとして、3人が注意義務を怠ったとは認めなかった。

 裁判官4人全員一致の意見。小貫芳信裁判官は補足意見で、「事故もあり得る」という程度の認識でATSの整備を刑罰で強制することについて、「過大な義務を課すもので相当ではない」と述べた。
(時事通信)

 尼崎JR脱線事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代三社長を無罪とした一、二審判決が確定することが分かった。最高裁が十二日付で検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定をした。
(共同)
●時事通信
「時事通信」は13日、《「裁判所に伝わらず、力不足」=検察官役の弁護士―福知山線脱線事故》という見出しで次の記事を配信した。
 福知山線脱線事故でJR西日本の歴代3社長の無罪が確定することを受け、検察官役の河瀬真弁護士らは13日、神戸市内で記者会見を開いた。

 河瀬弁護士は「伝えたかったことが裁判所に伝わらず、力不足で残念。遺族は非常に悔しいと思う」と、裁判を振り返った。

 最高裁の判断について「トップが安全対策にどの程度まで踏み込むべきかの基準を示してほしかった」などと悔しさをにじませた。

 検察審査会制度については「歴代3社長が裁判に出て自分の言葉で尋問に答えたことは意義がある」と話した。一方、課題として「捜査機関が集めた膨大な資料を引き継ぐ時間がなかった」とし、「起訴相当の判断の時点で公訴時効を半年停止するなどの変更が必要だ」と述べた。 

●時事通信
「時事通信」は13日、《「責任の重さ、改めて痛感」=JR西社長が会見―福知山線脱線》という見出しで次の記事を配信した。
 福知山線脱線事故で、JR西日本の歴代3社長の無罪が確定するのを受け、来島達夫社長は13日、大阪市の本社で記者会見した。

 同社長は「元社長3人の刑事裁判は終了するが、重大な事故を引き起こしたという事実に変わりはない。改めて事故の重大性と責任の重さを痛感している」と話した。

 その上で、「今後も引き続き被害者に真摯(しんし)に向き合い、二度と重大な事故を起こさないよう安全性を高めていく」と述べた。

●時事通信
「時事通信」は13日、《「納得できない」=遺族ら悔しさあらわ―福知山事故、JR西歴代3社長の無罪確定へ》という見出しで次の記事を配信した。
 福知山線脱線事故でJR西日本の歴代3社長の無罪が確定することに対し、遺族は13日、「真っ白じゃない」「納得できない」などと悔しさをあらわにした。

 長女早織さん=当時(23)=を亡くした大森重美さん(68)はJR尼崎駅前で、「残念でならない」と肩を落とした。「真っ白ではなく灰色の無罪。責任はいくらかある。これで全て終わりだという感覚を持たないでほしい」と訴えた。

 長女の中村道子さん=同(40)=を失った藤崎光子さん(77)も同駅前で、「JR西の企業体質に原因があったと思う。最高裁はそこを正しく判断してほしかった」と無念さをにじませた。「遺族のつらい思いは少しも癒やされていないことを忘れないで」と話した。

 次男昌毅さん=同(18)=が死亡した上田弘志さん(62)は「全然納得できない。これでは悲惨な事故はなくならない」と語気を強め、「会社に責任があるからこそ事故が起きた」と訴えた。

 一方、妻博子さん=同(54)=を亡くした山田冨士雄さん(67)は「予想した通り。結果が出てしまったものは仕方ない」と淡々。「語り部としてJR西の社員研修でも講話したように、風化を防ぐ取り組みを続けてほしい」と要望した。

●鷲見一雄の視点
 私は検察審査会の議決に基づいてJR西日本の歴代3社長を起訴した指定弁護士は最高裁までよく健闘したと評価する。これからも指定弁護士に選ばれた弁護士に頑張ってもらいたいと願う。
●鷲見一雄の憎まれ口
 強制起訴制度は維持させていかなければならない。


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