コラム

2017年04月19日号

【捜査をみる眼】
京都地検、医師の虚偽診断書作成に法のメス=武田病院の不整脈治療センター所長で医師・全栄和(チョン・ヨンファ)容疑者(62)を起訴


●毎日新聞
「毎日新聞」は18日、「<京都・虚偽診断書作成>武田病院の医師・全栄和(チョン・ヨンファ)容疑者(62)を起訴」という見出しで次の記事を配信した。
◇京都地検、元医事部長と組員は処分保留に

 暴力団組長の病状を偽る書類を作成し検察に提出したとして、虚偽診断書作成・同行使の疑いで京都府警に逮捕された「康生会 武田病院」(京都市下京区)の医師、全栄和(チョン・ヨンファ)容疑者(62)について、京都地検は18日、同罪で起訴した。一緒に逮捕された同病院の元医事部長(45)と暴力団組員(48)は処分保留で釈放した。地検は全被告の認否や2人の釈放理由を明らかにしていない。

 起訴状によると、全被告は武田病院不整脈治療センターの所長を務め、恐喝罪などで懲役8年の実刑判決が確定した指定暴力団・山口組の直系組織「淡海(おうみ)一家」総長、高山義友希(よしゆき)受刑者(60)の診療を担当。2016年1~2月、大阪高検から高山受刑者の病状について照会を受けた際、「心室性不整脈がおおむね7000回から1万回は出現している」「かなり重篤な状況である」「病状が重篤化することが安易に予測できる」などと虚偽の事実を記載した診断書類を作成し、高検に提出したとされる。

 府警によると、高山受刑者の当時の心電図などのデータに不整脈の兆候はなかった。捜査関係者によると、全被告は組長側から現金を受け取り、実際に心電図などに異常があった12年ごろの診療記録を基に書類を作成した可能性があるという。

 事件を巡っては、武田病院と医師派遣などで協力関係にある京都府立医大付属病院も高山受刑者が腎臓病のため収監に耐えられないとする書類を提出。大阪高検はこれらの書類などを基に16年2月に刑の執行を停止したが、今年2月、高山受刑者を収監し、府警は提出された書類が虚偽だった疑いがあるとして病院を家宅捜索した。

●京都新聞
「京都新聞」は18日、「虚偽診断書作成、組長の主治医起訴 収監逃れで京都地検」という見出しで次の記事を配信した。
 暴力団組長が収監されないよう康生会・武田病院(京都市下京区)の医師らが検察庁に虚偽の病状を記した回答書を提出したとされる事件で、京都地検は18日、虚偽診断書作成・同行使の罪で、指定暴力団山口組系淡海一家(大津市)の高山義友希受刑者(60)の主治医だった男(62)を起訴した。共犯として逮捕されていた同病院の元医事部長(45)と組員(48)については、処分保留で釈放した。
 地検は認否を明らかにしていない。捜査段階では主治医だった被告は容疑を否認していたという。
 起訴状では、2016年2月8日、高山受刑者について「心室性不整脈が7千~1万回は出現している」「心室性不整脈が頻発し、症状が重篤化することが安易に予測できる」などと虚偽の病状を回答書に記載し、大阪高検に提出したとしている。
 武田病院グループは18日、「事実関係が分かり次第、厳正に対処する。信頼回復に向けてあらゆる改善策に全力で取り組む」などとコメントした。

●鷲見一雄の視点
「産経新聞」によれば「全容疑者は、指定暴力団山口組系淡海(おうみ)一家総長、高山義友希(よしゆき)受刑者(60)について、(本紙注・懲役8年の)

実刑判決確定後の収監を免れさせようと計画。平成28年1~2月、「心室性不整脈はかなり重篤」などとする虚偽の診断書を作成し、2月に回答書として大阪高検に提出したとして、先月27日に逮捕された。逮捕後の取り調べでは「医師として普通に診断しただけ」との趣旨の供述をし、容疑を否認していたという。」(以上産経)


 全被告は公判で起訴事実を否認し、無罪を主張するとみられるが、被告の回答書によって収監が1年遅れたことは厳然たる事実といえる。この山口組幹部の刑の執行妨害行為は明らかに「国家秩序」に反する行為であり、仮に「医師として普通に診断しただけ」としても、許されざる反社会的行為であることは間違いない、というのが私の視点だ。

 なお、「一連の事件では、府警は京都府立医大病院(同市)なども家宅捜索。腎臓病の回答書について虚偽でなかったかどうか、慎重に調べを進めている」(産経)とされる。当然だ、と思う。

●鷲見一雄の憎まれ口
「国家の行う刑の執行に関する主治医の回答は普遍性がなければならない」

「国家の行う刑の執行は主治医の回答に普遍性がなくても、医師の回答書を検証せず、何もせず、黙認してはならない」。医師の特権にしてはならない、という意味だ。


 医師の普遍性に欠ける回答を国家が黙認すれば「法の支配が崩壊」するからだ。


「高山受刑者」は今年2月14日、刑の執行停止は取り消され、同受刑者は収監された。京都府警の捜査によって刑の執行は正常化した、ということだ。

「京都地検」の全容疑者起訴は当然の処分をした、と評価する。

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