コラム

2017年04月15日号

【裁判をみる眼】
最高裁第2小法廷、木嶋佳苗被告(42)の上告を棄却―死刑確定へ


●毎日新聞
「毎日新聞」は14日、『<連続不審死>「計画的で極めて悪質」木嶋被告の死刑確定へ』という見出しで次の記事を配信した。


 ◇最高裁第2小法廷、被告の上告を棄却

 2009年の首都圏連続不審死事件で男性3人に対する殺人罪などに問われた木嶋(養子縁組で土井に改姓)佳苗被告(42)の上告審判決で、最高裁第2小法廷は14日、被告の上告を棄却した。1、2審の死刑判決が確定する。小貫芳信裁判長は「殺害は計画的で極めて悪質。被告は不合理な弁解で反省の態度を全く示しておらず、死刑はやむを得ない」と述べた。

 3件の殺人事件で木嶋被告の関与を示す直接証拠はなかったが、裁判員裁判の1審・さいたま地裁は12年4月、死亡現場から発見されたものと同種の練炭を木嶋被告が入手していたなどとして、状況証拠を積み重ねて有罪と認め、2審・東京高裁も支持していた。

 弁護側は上告審で「被害者は自殺した可能性がある」などと主張したが、小法廷は「被告は各被害者の死亡直前にそれぞれ2人だけで行動しており、被害者には自殺や事故死の可能性がない」と否定。「ぜいたくな暮らしをするため、結婚サイトで知り合った男性から真剣交際を装って多額の現金を受け取っており、返済やうその発覚を免れる目的で3人を次々と殺害した」と結論付けた。裁判官

4人全員一致の意見。

 1、2審判決によると、木嶋被告は09年、結婚情報サイトで知り合った当時41~80歳の3人を練炭自殺に見せかけて殺害するなどした。

 1審は裁判員の在任日数が当時最長の100日間に上った。裁判員裁判で審理された事件の死刑が確定するのは15人目で、女性の被告は初めて。【伊藤直孝】

 ◇首都圏連続不審死事件の経過

<2009年>

 2月 東京都青梅市の寺田隆夫さん(当時53歳)が自宅で死亡しているのが見つかる

 5月 千葉県野田市の安藤建三さん(同80歳)宅が全焼し、焼け跡から安藤さんの遺体が見つかる

 8月 東京都千代田区の大出嘉之さん(同41歳)が車の中で死亡しているのが埼玉県富士見市の駐車場で見つかる

 9月 埼玉県警が木嶋佳苗被告を詐欺容疑で逮捕

 <10年>

 2月 同県警が大出さん殺害容疑で再逮捕

10月 警視庁が寺田さん殺害容疑で再逮捕

12月 千葉県警が安藤さん殺害容疑で再逮捕

 <12年>

 4月 さいたま地裁が死刑判決

 <14年>

 3月 東京高裁が地裁判決を支持

 <17年>

 4月 最高裁が上告を棄却

●朝日新聞デジタル
「朝日新聞デジタル」は15日、《死刑「覚悟していたので」 木嶋被告、拘置所で淡々》という見出しで次の記事を配信した。
木嶋(現姓・土井)佳苗被告

 2009年に首都圏で起きた男性3人の連続不審死事件で、殺人罪などに問われた木嶋(現姓・土井)佳苗被告(42)の死刑が確定することになった。最高裁が14日の判決で、被告の上告を棄却した。

【写真】木嶋佳苗被告から最高裁判決の直前に朝日新聞記者に届いた手紙。「裁判に対する失望と落胆はあります」「七年半の勾留生活を経験したことで、人の誠意と愛情と信頼を確認できたことは重宝です」などと記していた

 桜色のシャツに白いパンツ姿で、木嶋被告は東京拘置所の面会室に現れた。14日午後3時半、最高裁でも死刑が維持されたことを伝えると、「それはもう一審後から覚悟していたので、特に驚きはありません」。淡々と話した。

 2009年に逮捕され、12年の一審判決は死刑。そのころから記者との文通や面会は始まった。今年3月に面会した時も、「死刑への怖さはない」。14年の二審判決前の面会では、目に涙を浮かべる姿を見ていただけに、記者が驚くほどさばさばとしていた。

●鷲見一雄の視点
「女を泣かせる男もいるが、男を迷わし殺害にまで及ぶ女もいる」というモデルケースだ。

「読売新聞」は今日の社説で「証拠の精度を最高裁も認めた」と題する主張をしている。冒頭の「どの角度から証拠を検討しても、犯人は被告以外にありえない。最高裁は、そう結論付けた」は私も共鳴する。その通り、だと思う、という意味だ。

 木嶋被告は結婚情報サイトで知り合った当時41~80歳の3人の男性に夢を見させ、最高裁が「(自分が)ぜいたくな暮らしをするため、真剣交際を装って多額の現金を受け取っており、返済やうその発覚を免れる目的で3人を次々と殺害した」と認定したのと同じように私も見立てる。「真剣交際」か「下心あっての交際」かの区別がつけにくいからだ」。

●鷲見一雄の憎まれ口
 最高裁2小法廷の来嶋被告に対する小貫芳信裁判長の「殺害は計画的で極めて悪質。被告は不合理な弁解で反省の態度を全く示しておらず、死刑はやむを得ない」と述べた判決は妥当だ。毒物カレー事件と同様、自白や目撃証言など直接証拠がなくても、状況証拠を積み上げることで事件を立証できる典型例となると私も思う。検察側が説得力のある状況証拠を重層的に示す努力の重要性を痛感させる判決といえる。


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