コラム

2017年03月18日号

【裁判をみる眼】
原発避難者訴訟=国に賠償命じる判決…「予見可能だった」


●朝日新聞デジタル
「朝日新聞デジタル」は17日、《原発避難訴訟、国に賠償命じる判決「予見可能だった」》という見出しで次の記事を配信した。
 東京電力福島第一原発事故で群馬県に避難した人や家族ら137人が国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は、東電と国のいずれについても責任を認め、62人に対し計3855万円を支払うよう命じた。判決は津波の到来について、東電は「実際に予見していた」と判断。非常用ディーゼル発電機の高台設置などをしていれば「事故は発生しなかった」と指摘した。国についても「予見可能だった」とし、規制権限を行使して東電にこれらの措置を講じさせていれば「事故を防ぐことは可能であった」とした。原告の主張をほぼ認める判決となった。

 同様の訴訟は全国で約30件あり、約1万2千人が参加しているが、集団訴訟としては初めての判決。福島原発事故をめぐって、国の違法性についての初めての司法判断でもあり、国や東電の過失を認めるかが大きな争点だった。

 原告側は、政府が2002年7月に発表した「長期評価」で、福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が「30年以内に20%程度」とされていた点を重視。東電が08年5月、福島第一原発に15・7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなども指摘し、「津波は予見でき、防潮堤建設などで事故は防げた」と主張していた。

 東電や国は、長期評価や試算について「確立した知見ではなかった」などとして、津波の予見可能性を否定。実際の津波は想定をはるかに超える規模で、事故は防げなかったと反論していた。

●読売新聞
「読売新聞」は17日、「原発避難訴訟、国と東電に賠償命じる…前橋地裁」という見出しで次の記事を配信した。
東京電力福島第一原発事故で、福島県から群馬県に避難した住民ら計45世帯137人が、国と東電を相手取り、慰謝料など総額約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁は17日、国と東電に対し、原告のうち62人に計3855万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 原発事故を巡って、国の責任を認める判決は初めて。

 原道子裁判長は、東電が巨大津波の到来を予見できていたのに適切な津波対策を行っていなかったと指摘。国も東電に回避措置を取らせるべきだったとし、両者がこれらの対応を怠ったために事故が起き、原告らの平穏生活権が侵害されたと認定した。

 前橋地裁の原告は避難指示区域内の25世帯76人、区域外から自主避難するなどした20世帯61人。「ふるさとや仕事を失うなど、甚大な精神的苦痛を受けた」として、慰謝料など一律1100万円の賠償を求めていた。

●産経新聞
「産経新聞」は17日、《福島第1原発事故「予見・回避可能だった」 避難者集団訴訟 原告側の請求一部認める 前橋地裁》という見出しで次の記事を配信した。
 東日本大震災の津波に伴う東京電力福島第1原発事故をめぐり、事故が起きる危険性を知りながら対策を取らず、事故を招いて住民に損害を与えたとして、福島県から群馬県に避難した45世帯137人が、東電と国を相手取り、1人1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は「原発事故の予見や回避は可能だった。国は原発事業者に対する規制権限を果たさなかった」と指摘。国と東電に、原告計62人に対し、連帯して7万~350万円の賠償を命じた。ほかの原告の訴えは棄却した。

 原発事故の法的責任追及で、予見・回避可能性を認める判決は初とみられる。原発事故による損害賠償を求める集団訴訟は全国で約30件起こされており、原告数は計約1万2千人に上る。集団訴訟の判決は今回が初めてで、今後の各地裁の判断に影響を与える可能性がある。

 主な争点は、(1)東電と国は、原発事故が起きる危険性を予見しながら、対策を怠っていたのか(2)原発事業者に対する国の監督・規制は十分だったか(3)国の賠償指針に基づいた東電の賠償額は妥当か-など。

 原告側は「事故以前に、従来想定を超す津波が発生して原発事故が起きる可能性を示したデータがあり、対策を取っておけば事故は防げた。賠償額も不十分」と主張。東電と国側は「データは未検証の仮説の一つに過ぎなかった。事故の予見や回避は困難だった」と請求棄却を求めていた。

●毎日新聞
「毎日新聞」は17日、「<原発避難者訴訟>東電と国に賠償命じる 前橋地裁」という見出しで次の記事を配信した。
 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から群馬県に避難した住民ら45世帯137人が東電と国に約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(原道子裁判長)は17日、東電と国に3855万円の支払いを命じる判決を言い渡した。原発事故全国弁護団連絡会によると、同様の集団訴訟は全国20地裁・支部で約1万2000人が起こしており、今回が初めての判決。

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 原告は避難指示区域からの避難者が6割、自主避難者が4割。いずれも国の審査会が示した「中間指針」に基づいて東電から一定額の慰謝料を受け取っているが、「古里を奪われた被害の実態に見合っていない」として、1人一律1100万円を求めて2013年9月から順次提訴した。

 第1原発は11年3月11日に10メートル超の津波に襲われ、全ての電源を喪失し事故が発生した。裁判の主な争点は、(1)東電や国は津波を予見し、事故を回避できたか(2)国が東電に安全対策を取らせる規制権限があったか(3)国の指針に基づく東電から避難者への賠償額は妥当か--の3点だ。

 原告側は、政府の地震調査研究推進本部が02年に「福島沖でもマグニチュード8級の津波地震が起こりうる」と示した「長期評価」や、この予測をもとに東電が08年、想定津波を最大15.7メートルと試算した点から「東電は巨大津波を予見できたのに防潮堤建設などの対策を怠った」と指摘。国についても「津波対策を取るよう東電に命令しなかった」として対応は違法だったと主張した。

 これに対し、国や東電は「長期評価は確立した科学的知見とは言えず、巨大津波は予見できなかった」と反論。国の中間指針を超える新たな賠償は必要ないとも主張していた。

 原発事故を巡っては、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴され、刑事裁判でも責任が問われている。【尾崎修二】

●朝日新聞デジタル
「朝日新聞デジタル」は17日、《東電「判決内容を精査し、対応を検討」 原発避難訴訟》という見出しで次の記事を配信した。
前橋地裁が国と東京電力の賠償責任を認めた17日の判決について、東京電力は同日、「当社原子力発電所の事故により、福島県民の皆様をはじめ、広く社会の皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からおわび申し上げます。今後、判決内容を精査し、対応を検討してまいります」とするコメントを出した。

●鷲見一雄の視点
 私は「東京電力福島第一原発事故」は「国にも、東電にも責任がある」という視点だ。

●鷲見一雄の憎まれ口
 この判決は全国で28件ある同様の訴訟に大きな影響を与える、と私も思う。


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